教授挨拶
教授 竹野 幸夫
広島大学大学院耳鼻咽喉科学・頭頸部外科学のホームページをご覧くださり、ありがとうございます。 耳鼻咽喉科の紹介です。唐突ですが、人間の体には解剖学的に外界と通ずる「あな」と呼べるものが7(あるいは8)個存在していますが、耳鼻科の医者はその中の5個の「あな」を担当しています。耳の穴、鼻の孔、口のあな(腔)とありますが、そこに孔が存在していればその中がどうなっているのか覗いてみたいと考えるのは、好奇心豊富な人間の本能ともいえるのではないでしょうか。これが耳鼻科の原点ともいえます。
そしてもともと、狭い孔の中を治療するのが商売ですから、意外かもしれませんがいろいろなハイテク器械の導入率もトップクラスです。軟性(flexible)にしろ硬性(rigid)にしろ、内視鏡の使用率と普及率は一番でないかと思います。耳鼻科のトレードマークといえば中心に穴があいている反射式の凹面鏡(額帯鏡)ですが、これもLEDヘッドライトや内視鏡にとってかわりました。さらに耳科手術には顕微鏡はもとより、口腔・咽頭手術のロボット手術の導入、ナビゲーションやパワーデバイスの普及率も専門領域科として常に先を進んでいます。もちろん、再建術を併用する頭頸部悪性腫瘍疾患や顔面外傷で適応となるダイナミックな手術も耳鼻咽喉科専門医の重要な守備範囲です。
それと同時に耳鼻咽喉科・頭頸部外科は「小さな宇宙」と呼べるほど、非常に多種多様な専門領域をカバーしています。日本耳鼻咽喉科学会の声明でも、「耳鼻咽喉科は耳、鼻、口腔・咽頭、喉頭、気管、食道、頭頸部と広範囲にわたる領域において新生児から老人まで多彩な疾患の診療・研究を行います。」と記載されています。すなわち、1)アレルギー・免疫学、鼻科手術、2)耳科学・平衡感覚、耳科手術、3)顔貌、コズメティクス、4)甲状腺疾患、扁桃疾患、内分泌外科、5)コミュニケーション、音声言語、嚥下・咀嚼、6)味覚・嗅覚、そして、7)頭頸部悪性腫瘍(頭頸部外科)、などなど、入局後の専門分野の進路選択にも多くのオプションが用意されています。ひとことでまとめると、「感覚器外科として非常に多種多彩な専門分野と境界領域 -ヒトの五感のうち三感を守備範囲-」、といえると思います。同時に、年齢的にも新生児から高齢者まで、男女を問わず対象とする幅広い分野です。
私は平成30年4月より当教室を主宰しており、塚本寛教授(昭和24年~)、黒住静之教授(昭和38年~)、原田康夫教授(昭和53年~)、夜陣紘治教授(平成5年~)、平川勝洋教授(平成17年~)に続く第6代目となります。まだまだ経験も浅く若輩者ですが、耳鼻咽喉科領域の各専門分野の研究と後進の指導において伝統のある教室を、ますます発展させていこうという意気込みだけは引けを取るまいと思っています。このように、多種多様な守備範囲を有している診療科です。入局後にもいろいろな分野にトライしてみたいと興味を有している方、なんとなくまだ将来像を決めかねている方、そのような学生・研修医の皆さんにとっても格好の分野です。気軽に門を叩いてみてください。准教授、医局長などの主要スタッフも若い世代が主軸となり、気軽に一杯傾けながら相談に乗ってくれます。
広島大学大学院医系科学研究科
耳鼻咽喉科学・頭頸部外科学研究室
教授 竹野 幸夫
略歴
竹野 幸夫(Sachio Takeno)
1987年3月 | 京都大学医学部医学科卒業 |
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1991年3月 | 広島大学大学院医学系研究科外科系耳鼻咽喉科学専攻 修了 |
1992 - 1994年 | Post Graduate Fellowship in Department of Otolaryngology、University of Toronto |
1996 - 1997年 | 帝京大学医学部耳鼻咽喉科 助手 |
2004年1月 | 広島大学病院感覚器・頭頸部診療科 講師 |
2005年4月 | 広島大学大学院医歯薬学総合研究科 准教授 |
2018年4月 | 広島大学大学院医歯薬保健学研究科 医歯薬学専攻医学講座 耳鼻咽喉科学・頭頸部外科学研究室 教授 |